あなたにも忍び寄る免疫老化!毎日できる免疫老化対策【エイジングケアコラム第7回】
最近、風邪をひきやすい…
1年に2回、インフルエンザにかかった…
それはあなたの身体の免疫力が低下しているサインかもしれません。
老化現象の中でも、病と直結している「免疫老化」…あなたの免疫老化はどれぐらい進んでいるか、知っていますか?
免疫老化とは
加齢に伴って、私たち人間の免疫機能は低下するといわれています。
例えば、風邪を引いても引いても、またぶり返す。
インフルエンザに1年に2回かかる…これは明らかに免疫老化が原因といえます。
免疫には自然免疫と獲得免疫の2種類がありますが
そのどちらも、老化とともに機能が低下していくといわれています。
自然免疫を担当する「ナチュラルキラー(NK)細胞」や「マクロファージ」などがあり、身体の中に侵入してきた病原体を直接攻撃、または捕食し、身体の機能を低下させないように前線で食い止める存在です。
自然免疫が活発な方は「風邪を引きにくい」「インフルエンザにかからない」特徴があるといっても過言ではありません。
獲得免疫を担当するのは「ヘルパーT細胞」「キラーT細胞」「B細胞」などがあり
マクロファージからの情報を受け取ったヘルパーT細胞がキラーT細胞、B細胞に指示を出し、病原体を攻撃したり、抗体を生み出して無力化させたりします。
風邪を引いたのに、またぶり返してしまうのは、免疫を獲得しても、それがきちんと働いていない証拠。
免疫老化は、「仕方のないこと」なのでしょうか?
エイジングケアの観点からいえば「NO」です。
まずはあなたの免疫力をチェックしていきましょう!
あなたの免疫老化をチェック!
免疫力は20代辺りをピークに年齢を重ねるとともに低下していってしまいます。
40代ではピーク時の約50%、70代では10%ほどまで免疫力になるといわれています。これほど免疫老化とはどんどん進行してしまうものなのです。
免疫老化度をチェックしましょう。
身体編
- 1シーズンで2回以上風邪を引く
- 風邪を引くと長引く
- 原因不明の頭痛が多い
- 口内炎ができやすい
- 口唇ヘルペスができる
- 冷え症である
- 疲れやすい
- 胃腸の調子が悪い(便秘・下痢)
- 傷が治りにくい
精神編
- 気分が憂鬱である
- 悲しいと感じることが多い
- 自宅からあまり出ることがない
- 人付き合いが苦手
生活編
- 最近、環境の変化があった
- 移動で歩くことが少ない
- 外食が多い
- 揚げ物・スナック菓子・ジャンクフードが好き
- お酒が大好きだ
チェックリストを読んであてはまる数が多ければ多いほど…免疫老化が進んでいます。
あなたは何個ほど、あてはまりましたか?
免疫力が低下してしまうと、風邪を引きやすくなったり、長引いたり…
なんだか気分がすぐれない毎日。外出する機会が減ると、さらに免疫力が低下します。
また、「除菌ブーム」も免疫力低下の一因の一つ。何でも除菌をしてしまうと、自然免疫が働く機会が減ってしまい、機能が低下してしまい、アレルギー体質に変化していってしまいます。
最近の花粉症罹患者の多さは、日本人の行き過ぎた清潔志向が原因かもしれないといわれています。
少し話が横道にそれましたが、免疫老化を防ぎ、免疫力をつけていくにはどうしたらいいのか。少し詳しく考えて行きましょう。
知っておきたいニュース:免疫機能異常のメカニズム
4月2日、あるニュースが飛び込んできました。科学技術振興機構と愛媛大学が、千葉大学、かずさDNA研究所、理化学研究所の強力を得て、老化に伴う免疫機能異常のメカニズムに一端を明らかにしたと発表しました。
※マイナビニュース――愛媛大など、老化に伴う免疫機能異常のメカニズムの一端を解明
免疫老化が起こるとヘルパーT細胞の機能が劣化し、免疫システム全体の機能不全に陥ります。
結果として、慢性的な炎症が引き起こされ、最終的には加齢に伴う「関節リウマチ」などの慢性炎症疾患(自己免疫疾患)や発がんの発症増加、易感染症(通常は感染しても症状が現れることがない微生物や細菌にも感染してしまう症状)、ワクチン効率の低下(インフルエンザワクチンを打っても、症状が出るなど)を招くといわれています。
このヘルパーT細胞が細胞の老化に伴って、機能異常を引き起こすメカニズムはほとんどわかっておらず、今回そのメカニズムの一端が明らかになったわけです。
簡単に説明すると、メニンというたんぱく質がヘルパーT細胞の老化を制御していることがわかり、メニンを持たないマウスでは、免疫機能が正常に働かず細胞老化が確認できました。さらに、老化に伴う過剰な炎症反応の誘導を押さえるタンパク質バック2の存在が明らかになりました。このバック2の発現にはメニンが関係しており、メニンの機能が弱まると、ヘルパーT細胞の老化が誘導され、さらにメニンやバック2の発現が誘導できなくなると、免疫老化に伴った炎症反応につながるというメカ二ズムが明らかになったわけです。
今後は、このメニンやバック2の活性を高める方法の研究が進んでいくのでしょう。
これは免疫学にとって、大きな進歩といえますね!
毎日できる免疫老化対策
免疫老化自体の進行を抑えるのは体の老化を抑える方法と基本的に同じです。生活習慣が鍵になっています。
免疫老化によって低下した免疫力を更に下げてしまわないための心掛けと免疫力を補い、カバーするための対策を紹介したいと思います。
免疫老化対策:食事で免疫力アップ!
免疫力のキーとなる食材は海藻・キノコ・発酵食品!
腸は体内にありながらも外界からの病原体の侵入を食い止める最大の免疫器官。腸内の免疫細胞の数は、なんと体全体の免疫細胞の6割を占めます!この6割の細胞達が侵入してきた病原体と戦っているのです。つまり腸に良いものを食べて、腸内の免疫細胞を活性化させることがそのまま免疫老化の予防につながります。
しかし…現代人の食生活ではなかなか補えない食物繊維。18歳以上の男性で1日19g以上、女性で1日17g以上摂取するのが目安とされています。さらに、働きの違う不溶性食物繊維と水溶性食物繊維を2:1のバランスで摂取することが重要です。食物繊維の多い食物を知って、しっかり摂りいれていきましょう!
不溶性食物繊維を多く含む食品
- 豆類
- おから
- 切り干し大根
- モロヘイヤ
- オクラ
水溶性食物繊維を多く含む食品
- こんにゃく
- 海藻類
- いちじく
- いちご
- エシャロット
発酵食品は腸内環境を整えるてくれる働きがあり、腸が活性化されます。納豆、みそ、ヨーグルト、チーズ、サワークラウト、キムチ、ザーサイなど…料理に取り入れやすい食材が多いので、意識してしっかり摂取しましょう!
免疫老化対策:体を温めよう!
風邪を引いて熱を出し38.5℃を越えたとき…実はマクロファージの活性がアップしているとき。体温を上げて、免疫機能を活発化させています。このように、体温と免疫には深い関係があるんですね。
では、日常生活において免疫力を高める方法は…平熱を36℃台でキープすること!です。自分の平熱より1度下がると免疫力は3割低下し、1度上がると5~6倍アップと言われています。平熱が35℃台よりも、36℃台の方が、免疫力はupしているのです。
体温を維持するには、身体を冷やさないこと。毎日の生活でできる冷え対策は…
- 湯船にゆっくりとつかる
- 運動を心掛ける
- 冷たいものをできるだけ避ける
湯船につかるときは、ぜひ水素入浴剤もご一緒に。
私の場合、疲れが風邪に直結してしまいます。疲れたと感じたときは、お風呂にじっくり入って、免疫力を高めるように意識しています。おかげさまで、最後にインフルエンザにかかったのはいつだったか?忘れてしまうほどですよ。
また、身体の冷えを招かないように、水素水もできるだけ冷やさずに常温で飲むのがいいでしょう。水分を摂ると「冷える」と勘違いしている人が多いようですが、水分量が不足すると身体のめぐりが悪くなり、どんどん冷えるのです。適度な量を常温で飲むようにするのが一番です。
免疫老化対策:ストレスは危険!?
ストレスが免疫力を低下させる原因は、科学的に明らかになっています。
まず、笑うことがNK細胞を活性化させるというのは以前キヨラビ通信でも特集しました。
笑うことで自律神経に変化をもたらし、笑いの刺激が神経ペプチドの分泌を促進、NK細胞が活性化されるのです。
さらに、ストレスを感じるとNK細胞の活性化が低下することがわかっています。
特に大脳との関係が明らかになっており、ストレスの刺激で生み出されるホルモンが原因で免疫細胞を破壊し減少させることがわかっているのです。
いかにストレスをため込まず、笑って暮らせるか…なんだか人間の「生きるテーマ」のようですが(笑)
生きることはすなわち健康であること。人間が人間らしくいられるための「最大の防御」が笑顔なのかもしれませんね。
まとめ
自分の身体のことは自分が一番よく知っています。
風邪を引きやすくなったな、風邪が長引くようになったな、疲れやすくなったな…自分の身体に起った変化に気づいたとき、それはもう免疫老化のサイン。少しの変化も見逃さないように、常日頃から、身体のことをしっかり見つめる機会をつくりましょう。